とくに専門性が高く長年の経験を要する疾患の形成外科手術について
豊胸術術後障害と顔面異物の診療
1970年台に豊胸目的でシリコンなどを注射されて乳房に硬いシコリができたり、乳房変形を生じて日本医大病院形成外科を来診される女性が大勢いました。それ以来、豊胸術の方法は変遷しましたが、インプラントの種類や手術方法が変わってもなお、豊胸術の術後障害や後遺症そして乳癌の心配を訴える女性は引きを切りませんでした。
1995年から2015年までの20年間、日本医大形成外科の教授を務めた私のもとには、実に多くの患者さんが訪れました。その数は恐らく千人を越え、救済した女性の数もいとまがありません。
さて、その救済方法ですが、まず乳癌の合併がないかどうか、入れられた異物の種類は何か、全身疾患である「ヒト・アジュバント病」にかかってないか、などの診断を正しくしなければなりません。その上で、異物の摘出や再建について必要な選択肢を提示します。
顔面のフィラーによるシコリも豊胸術と同様の正しい診断が求められます。特に如何なる異物が使われたかによって、治療も変わります。
(写真)変形
(写真)変形
(写真)変形
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脂肪注入による脂肪壊死塊
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注入されたハイドロジェルの感染
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注入シリコンに乳癌が併発
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注入シリコンによる異物反応
(写真)露出したシリコン
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注入されたフィラーによる異物反応
リストカットややけどの傷跡修正
キズは一度作ったら絶対に消えません。しかし、目立たなくしたりリハビリテーションメイクアップで隠すことはできます。とくに、リストカットスカーややけどの後の面状のキスあとは、手術によって、縮小したり方向を帰ることでより見やすくすることはできます。傷跡の大きさや場所によって治療の方法が違いますので、とにかく信頼できるキャリアの十分な形成外科専門医に相談することです。。
リハビリメイクR(かづきれいこさんに依頼)
(写真)リハビリメイクRによる消去
刺青の消去
最近ではファッションタトゥーは全く一般的になりましたが、我が国ではかつてその筋の人が全身に入れ墨を入れて虚勢を張る習慣があったトラウマからか、公衆の場所では露出を禁止するなど、偏見が残っています。また、若気の至りで入れたタトゥーが、就職や結婚のときになって見られては拙いと言って除去を希望する向きもあります。では、タトゥーはどうやって除去するのでしょうか。
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削る
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植皮する
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縫って消す。
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レーザーで消す。
1の削るは面状のやけどの跡のようは傷跡が遺って、痛みや痒みが頑固に遺る場合もあります。
2の植皮は、深く大きな刺青を取って他の場所(多くは太ももやおしり)から薄い皮膚を剥がして植皮するのですが、皮膚を剥がしたところに刺青と同じ大きさの傷跡が残ります。