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執筆者の写真百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)

その20 SCAP(浅頸動脈穿通枝)皮弁による熱傷瘢痕拘縮再建とその応用

項部を基点にして前頸部や後頭部を被覆できるSCAP(浅頸動脈穿通枝)皮弁はその挙上しやすさ、1:3位の大きさでも薄くできること、島上皮弁にできることなどから、種々の使い道がある有用な皮弁である。オリジナルのヒントは元慶応大学形成外科助教授の中嶋英雄先生の論文にあるが、私は早くからこの皮弁の有用性に着目し、多くの解剖学的研究と臨床応用を発表して世界に普及させた。

(私の論文)

Hyakusoku,H.,Yoshida,H.,Okubo,M.,Hirai,T.and Fumiiri,M.:Superficial cervical artery skin flaps. Plast.Reconstr.Surg.,86:33-38,1990.

Hyakusoku,H.,Gao,J-H.and Fumiiri,M.:Developmental uses of superficialcervical artery flap.Chin.J.Microsurg.15:198-199,1992.

本皮弁は当初SCA皮弁とされ、有軸皮弁(Axial Pattern Flap)に分類されたが、その後穿通枝皮弁の概念が台頭したため、Superficial Cervucal Artery Perforater Flap 略称SCAP皮弁と呼称することにした。そして、遊離皮弁や末梢に微小血管付加を施し、マイクロサージャリーで長大な皮弁とすることも可能とした。以下に、血管解剖学的画像と臨床症例をいくつかお見せする。

SCAP皮弁nSCAP皮弁の血管解剖学的画像。

左:MDCT(日本医大形成外科小野真平准教授による).矢印がSCAP。右:屍体における血管撮影。SCAP皮弁の領域を示す。




SCAP皮弁nSCAP皮弁の血管解剖学的画像。

MDCT(日本医大形成外科小野真平准教授による).矢印がSCAP。


屍体における血管撮影。SCAP皮弁の領域を示す。




頸部熱傷後瘢痕拘縮のSCAP皮弁による再建例。

本皮弁の模式図。


術前の頸部瘢痕拘縮の状態。



皮弁のデザイン。



術後半年の状態。


遊離SCAP皮弁による前額部3度熱傷の再建例。


皮弁の血管を切り離す前。



術前の前額部3度熱傷で前頭骨が露出している像。



遊離SCAP皮弁移植後。




SCAP皮弁の熱傷以外への応用症例。左:手術前の頚部の放射線照射による瘻孔。

中:SCAP皮弁のデザイン。右:手術後3ヶ月。





頭部悪性腫瘍切除後の瘻孔閉鎖の症例。上左:術前の状態。上右:SCAP皮弁のデザイン。下左:SCAP皮弁の挙上。下右:閉鎖術後3ヶ月。この後、皮弁茎ぶを切除して、完成した。




以上のように、SCAP皮弁は種々のバリエーションがあり、再建に極めて有用な皮弁となった。


以上を以て本コラムを一旦終了する。最後まで閲覧して頂いた方々に謝意を表します。



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