その8で触れた留学生であった高建華先生が、中国で行った超薄皮弁の遠隔移植で手背の瘢痕拘縮を解除して被覆に供している写真を見せてくれ、その素晴らしい結果に驚いた。これもまた、私が超薄皮弁の研究と開発に邁進するモチベーションになった。
左の4枚:高先生が留学前に中国で行った症例。右の4枚:私が山形県の病院で高先生を真似て行った症例。何れも皮弁は極めて薄く、末梢の表皮壊死は殆ど見られない。
(その論文
Gao,JH.,Hyakusoku,H.Inoue,S.,Aoki,R.,Kanno,K,.Akimoto,M.,Hirai,T.Fumiiri,M.,Luo,JH.:Usefulness of narrow pedicled intercostal cutaneous perforator flap coverage of the burned hand .Burns.,20:65-70,1994
この皮弁の栄養血管は肋間動脈皮膚穿通枝であり、皮膚茎はnarrow pedicle(狭茎)であり、皮弁は1:2を逸脱しない。皮弁は末梢に行くほど薄くする。皮弁の切離は10日目位で通常の遠隔皮弁より早い。
ヒートプレス損傷の遠隔超薄皮弁による被覆。
左:上から手術前の状態。皮弁のデザイン皮弁の超薄化。右:上から、術後の3枚。
この皮弁移植の方法は、手術が複数回になる欠点があるが、結果が納得でいるものであり、手背の被覆の1法として有用である。次回は最終回となるが、SCAP皮弁について述べる。
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