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執筆者の写真百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)

その10 熱傷による頸部顔面の瘢痕拘縮治療には超薄皮弁―背中からだけでなく胸からも

背中は、熱傷が背中に及んでも背中の皮膚が厚いため再生しやすく、また仰臥位で寝ることが多く、従って天然の圧迫療法になるため、瘢痕があまりできないという利点から、非常に良い超薄皮弁の採取部となる。

しかし、その厚さが顔面頸部の再建には合わないことも珠にある。そこで、より皮膚の薄い胸部が熱傷瘢痕で侵されていないときは、超薄皮弁の採取部となり得る。


図は口頭頸胸部超薄皮弁(第2肋間穿通枝付加)


頸部の熱傷と皮弁のデザイン。



超薄皮弁の移植。


伸展性があり頸部の皮膚のように薄い。



このように、頸部の熱傷は瘢痕化すれば必ず拘縮となる。また、単純な遊離植皮で治すこともできるが、圧迫などの後療法を長期に亘って行わなければならない煩わしさがある。その点、超薄皮弁はより確実かつ患者に負担の少ない結果をもたらすものである。皮弁が短ければ末梢部の生存保証のための血管付加は不要であるが、マイクロサージャリーのテクニックが駆使できるなら、積極的に微小血管付加を加えるよう勧めたい。


次回は、更に技術的に発展した完全遊離型の超薄皮弁について述べる。

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