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執筆者の写真百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)

その18 下肢の形成再建外科-2.遠位茎腓腹皮弁による下腿・足の再建

遠位茎腓腹皮弁は1994年に私によって最初に報告された皮弁である。


)Hyakusoku,H.,Tonegawa,H.and Fumiiri,M.:Heel coverage with a T-shaped distally based sural island fasciocutaneous flap. Plast.Reconstr.Surg.,93:872-876,1994.

光嶋勲前東大教授が、ハーバード大に留学されたときに、ハーバードの形成外科医が、Hyakusoku Flapと呼んでいたと聞かされ、大変に光栄に感じた次第である。その解剖学的解析は、利根川均博士によるところが大きいが、その考えと臨床的証明は私による。

遠位茎腓腹皮弁(distally based sural flap)の基礎と臨床。


左:遠位茎腓腹皮弁の根拠となる血管解剖。中:踵修復に用いた遠位茎腓腹皮弁のデザイン。右:修復後半年の状態。



皮膚島状遠位茎腓腹皮弁


左:修復前の下腿潰瘍。中:修復に使用された皮膚島状遠位茎腓腹皮弁のデザイン。右:手術後半年の状態。

皮弁の茎は筋膜茎で、皮弁と修復部の間は皮膚切開をしていない。すなわち、トンネル作成により移植した。




下腿の複雑骨折後の金属プレートの露出。


手術前の状態。


対側被覆部に遠位茎腓腹皮弁をデザイン。


皮弁をクロスレッグ法によって移植した。


皮弁は3週間後に切離し、3ヶ月後の状態。


遠位茎腓腹皮弁は、血管を逆行性にする皮弁ではない。皮弁中心部に腓腹神経に寄り添って走るsuperficial sural artery が栄養血管ではあるが、実際には穿通枝のネットワークがこの動脈であり、決して逆流はしない。従って逆行性と定義づけるのは間違いである。その旨は最初の論文で書いてある。また、腓腹神経は皮弁の血流に全く貢献していない。


(その研究論文)

Aoki S, Tanuma K, Iwakiri I, Mizuno H, Ogawa R, Ozawa H, Hyakusoku H. Clinical and vascular anatomical study of distally based sural flap. Ann Plast Surg. 61(1) 73-78 2008


従って腓腹神経は皮弁から外しても何らその血行には影響を与えない。

実際に腓腹神経を温存して皮弁を挙げているところ。

次回は、褥瘡再建について述べる。

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