皮膚というのは、基本的に真皮まで達する傷を作ると一生消えないキズアトになるとされる。ここで、基本的にといったのは注射のようなピンポイントの傷は真皮に達しても感染にならない限りキズアトにはなりにくいからである。
しかし、リストカットのような切り傷、真皮に達する擦りむき傷、深達性2度熱傷などではキズアトが遺る。なぜキズになるかと言うとキズを治すために真皮の成分である線維芽細胞が増殖し皮膚の表面にでてくるからである。これが異常に増殖すると「ケロイド」になる。
ケロイドになるかどうかは、キズの深さと言うよりは体質があるようである。また、人種間でも差があり色の濃い人種ほどケロイドになりやすいとされる。白人のキズアトが一般的にきれいなのはその証明である。
さて、本題であるがどうやってキズアトをきれいにするかについて箇条書きで述べる。
1.キズアトをきれいにする形成美容外科的縫合法
創が深ければ先ず皮下脂肪同士を吸収性のより糸(バイクリルTMなど)で縫合する。次に真皮同士を吸収性の糸(PDSTMなど)で結び目が下になるように縫合する。最後に非吸収糸で表皮を合わせるように縫合する。キズがさほど深くない場合は最初の縫合は省く。
糸と糸の間隔や締め具合などは創の部位や形状などによって微妙な配慮が必要なので、このあたりが形成美容外科の専門性に依存する。
1. キズアトをきれいにする術後の処置
抜糸は1週間以上10日を目安とする。その後はサージカルテープをキズあとに沿って貼り毎日貼り替えることを進める。できれば半年を目処とする。
2. キズアトをきれいにする瘢痕ケロイドの回避
ここではっきりさせないといけないのは、ケロイドに纏わる用語の正確な医学的説明である。一般にはキズが赤く盛り上がればすべてケロイドという用語で表現される。しかし私はもっとわかりやすく以下のように分類する。
① キズアトはすべて瘢痕であり、盛り上がったものは肥厚性瘢痕という。通常3ヶ月後をピークとして赤く盛り上がり、その後徐々に柔らかくなり赤みも減衰するが、ピークが後ろにずれて肥厚が長続きする場合もある。
② 線状のキズアトに生じる線状瘢痕と熱傷後のように面状に盛り上がる面状瘢痕がある。
③ ケロイドとは肥厚性瘢痕も含めた瘢痕ケロイドと、キズアト以外のニキビ・毛包炎やピアス孔から生じ、腫瘍状に増殖する真性ケロイドがある。
キズアトをきれいにする方法は以上の3項目別に述べないとピンぼけとなる危惧があるので、先ず次回には①についてのべることとする。
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