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執筆者の写真百束 比古(HYAKUSOKU HIKO)

その4 線状瘢痕の処置。

更新日:2020年7月25日

線状瘢痕は、切り傷、手術ほ皮膚切開などが原因で生じる。通常は2,3ヶ月後はやや赤く硬い状態になるが、徐々に軽快して半年以降には赤みも硬さも軽減し、やがて白い成熟瘢痕となる。盛り上がったものは肥厚性瘢痕というが、ピークが後ろにずれて肥厚が長続きする場合もある。その状態を瘢痕ケロイドと呼び、ケロイドと混同されることもあるが、本当のケロイドはその7で詳しく述べる予定の真性ケロイドのことである。しかし、体質的に肥厚性瘢痕が年余に渡り治らない場合もあり、こう言う場合は真性ケロイドに準じる病態といっても過言ではない。従って治療法もその7で後述する真性ケロイドと同様である。

では通常の線状はんこな以下に対処すべきか、について述べる。

抜糸後はサージカルテープを瘢痕方向に貼って、できれば毎日交換させる。肥厚化の徴候が見られたら、シリコン被覆材や四肢であればサポーターなどによる圧迫療法を行う。ステロイド外用剤の塗布、ステロイドテープの貼付も効果があるが、ステロイド剤の局所注射はさらに効果がある。

それでも、治療に抵抗するようなら、再度切除して私の考案したSmall-Wave Plasty を使用して再縫合し、テープ貼付することも効果的である。

(参考論文)

Hyakusoku H, Ogawa R: The small-wave incision for long keloids. Plast.Reconstr.Surg. 111: 964-965, 2003.

Small-Wave Plastyによる線状瘢痕ケロイドの再切除縫合。

左:帝王切開後の瘢痕ケロイド。Small-Wave Plastyをデザインした。右:術後半年。術後電子線照射を行っている。


Small-Wave Plastyは特に腹部の縦の瘢痕ケロイドの再摘除縫合に適用すべき方法と考えている。

次回は面状瘢痕の処置について述べる。


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