口唇口蓋裂は昔は「兎唇」「みつくち」などと呼ばれたがこれらは動物の名を使ったり差別的な言葉は不適当用語、とのことで現在は使われない。
口唇口蓋裂は従来より形成外科と口腔外科が扱ってきたが口唇裂は審美的手術が必要なため、美容外科も行う形成外科医が関わりやすく、口蓋裂は歯牙の問題があるので口腔外科医が関わりやすい。
私は30歳の頃から会津若松の病院に非常勤として勤めて来たが、この病院にはなぜか口唇口蓋裂が多く訪れた。そこで、私が手術することが多くその数は数十人に及ぶ。
すべての子供は既に成長して仕事や家庭を持つようになっているが、時々その後の経過を診せに家族で来てくれるのは嬉しい限りである。
以下私の独自の口唇裂形成術のデザインについて記す。口唇裂には、鼻の下まで裂のない不全唇裂と、鼻の中まで裂があり多くは口蓋裂も合併する、完全唇裂がある。
不全唇裂:生後3ヶ月で手術
20歳時の状態。
左:完全唇裂の手術前。 右:手術後半年の状態。
完全唇裂の手術例。
左:生後3ヶ月の手術前。中:手術後の2才時。右:成人式の記念撮影。
両側唇裂の手術例。
左:手術前の状態。右:6歳時の状態。
また、完全唇裂はしばしば口蓋裂を伴う。口蓋裂にも前方が閉鎖している不全型と前方から後方まで割れている完全型がある。完全型では1回の手術では口蓋瘻孔を遺すことがありこれの閉鎖に複数回の手術を要することもある。不全型では以下に示すような方法が一般的である。
不全口蓋裂の手術前。
ファーラー法による被裂閉鎖直後。
完全口蓋裂の手術前
上石法による閉鎖手術直後。
次回は小耳症の形成術について述べる。
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