美容外科というのは形成外科学の3本柱のひとつであり、本来形成外科学に属する分野である。従って各医科大学の形成外科学教室が形成外科研修を終了して形成外科専門医を取得した医師にのみ美容外科研修を施して然るべき研修を終えたものにのみ、美容外科専門医試験受験の資格を与えることになる。
しかし、巷に氾濫する美容外科のチェーン店は、広告で患者(客?)を集め、また施術する医師の多くは形成外科研修を経由しないかしても短期で中退して、云わば俄仕立てで美容外科医として雇われ、手術や治療に従事してきた。
これは美容医療の世界の市場原理に応じた現状であり、エステサロンや脱毛チェーンなど、美容に関する事業の展開方法である。とはいえ、形成外科の研修を終了しないで美容外科医を謳うことは医学的にはあり得ないことである。
しかし、美容医療と言う正常なものを外科的に弄るという部門は広告によって患者を集めなくては症例が得られないと言う、医学教育に相反する医療の分野であり、今後どこかで折り合いをつけないとならない課題を遺している。
次回では、現在欧米の形成外科の世界で新たに注目されている、Reconstructive Aesthetic Surgery(再建美容外科)について述べる。
Comments